ファウンダー(創設者)
野田 智義

いま、私たちは、大きな岐路にたっています。20世紀を支えてきた市場と組織を中心とした経済社会システムが、格差・不平等の拡大による社会コストの増加、高度化するシステムの中での人間性の喪失、人類の持続可能性への脅威をもたらし、ひずみを立てています。このひずみは、東洋という伝統に立脚しながらも、グローバリゼーションという画一化の流れに翻弄される日本で、より顕著となっています。

ミクロの経済活動においても、少子高齢化等の進展による人口構成の変化、新興国を中心とした新しい経済パワーの台頭と人口爆発、熾烈化しボーダレス化する企業間競争、情報通信技術の発達に伴う個と組織の関係性の変化、ファブ社会の到来、テクノロジーを梃子にした人々の生活行動を激変させるイノベーションの潮流など、顧客・技術・競争・市場の急速な変化は枚挙に暇がありません。

21世紀に生きる私たちにとっての挑戦は、世界の中での日本という存在を深く理解し、人間の営みが織り成す歴史という時の流れを踏まえた上で、現実の急速な変化・課題と対峙し、新しい経済社会像、組織像、ビジネス像、個人像を生み出し、世界に問うことです。そこでは、人を幸せにし、社会を豊かにするという経済社会システムの根本原則に立ち戻り、個を中心におき、多様性を尊重しながらも、組織・社会という全体との調和を図りながら、新しい営利・非営利の活動のあり方を実現していくことが求められます。

ISLは、こうした課題に挑む変革と創造のリーダーを輩出する、他に類を見ない「場」型・「イニシャティブ」型教育機関です。人間存在に立ち戻り、自らの基軸と哲学を再確認するという独自の教育プログラムの提供を中心活動としながら、それにとどまらず、同じ夢と志を持つ仲間が集い相互に触発し切磋琢磨する「場」を提供します。さらには、所属する組織内での経済活動のみならず、より広い社会への具体的な働きかけを行うイニシャティブを推進します。これらの活動を通じて、社会に求められる真のリーダーを育成・輩出します。

ISLを支え、ISLで学び、ISLへ集う一人一人が、確固とした価値観と信念を持ち、勇気と情熱、そして何よりも責務感・使命感を持って行動し、人を巻き込み共感を創り出し、「志のある組織」、そして「夢のある社会」を実現する。その中で、各自が、自分にとって納得できる「意義のある人生」を送り、リーダーへと成長する。ISLが織り成す共創が、日本から世界に向けて新しい21世紀を発信するエネルギーとなるのが、私たちの願いです。

ファウンダー(創設者)プロファイル

野田 智義 (のだ・ともよし)
大学院大学至善館 学長 / 学校法人至善館 創設者・理事長

東京大学法学部卒業後、日本興業銀行入行。マサチューセッツ工科大学(MIT)スローンスクールより経営学修士号(MBA)、ハーバード大学より経営学博士号(DBA)取得。ハーバード大学ジョン・F・ケネディ行政大学院特別生、ロンドン大学ビジネススクール助教授、インシアード経営大学院(フランス、シンガポール)助教授を経て帰国。

2001年7月、NPO法人アイ・エス・エル(ISL、Institute for Strategic Leadership)を創設。MBAを超えた独自の全人格経営リーダーシップ教育を実践し、これまでに上場企業の経営トップ、地方企業の経営者、社会起業家など*修正*2400人強を超える卒業生を輩出してきた。

ISLでの実績を基礎に、2018年8月に文部科学省の認可を得て、東京・日本橋に大学院大学至善館を開学。米国型MBA教育のあり方を日本とアジアから再構築し、ヒューマニティに基軸を置く未来型の経営リーダーシップ教育の確立に挑戦している。

*削除*2012年4月〜2017年3月の5年間、公益社団法人経済同友会にて、東北未来創造イニシアティブ協働プロジェクトチーム委員長を務める。

稲盛財団イナモリ・フェロー(第二期)。*追加*公益社団法人経済同友会 資本主義の未来PT委員長。

社会イノベーター公志園統括運営責任者。独立行政法人国際協力機構イノベーション推進アドバイザー。

経営学者時代は組織戦略論が専攻で、既存企業における戦略策定・資源配分・事業創造・戦略統合プロセスについての研究成果を、Academy of Management Journal、 Strategic Management Journal、 Harvard Business Reviewなどに発表。インシアード経営大学院においては、最優秀教授賞を3年連続で受賞した経歴を持つ。著書に「リーダーシップの旅」(金井壽宏共著 光文社新書)、*追加*「コンテクスト・マネジメント ー 個を活かし、経営の質を高める」(光文社)、訳書に「アクション・バイアス」(ハイケ・ブルック スマントラ・ゴシャール著 東洋経済新報社)がある。京都市出身、1959年生まれ。